十一景 上野清水堂不忍池

歌川広重の「名所江戸百景」の十一景は、上野清水堂不忍池です。元の絵はこちら。

この絵のポイントは、まず清水堂、次に満開の桜、変な形の松の木、そして松の向こうに広がる不忍池、の4つでしょう。この「百景散歩」では、なかなか往時の景色の風物が現代にうまく遺されていなくて苦労することが多いのですが、ここでは珍しいことにこの4つともなんと現存するのです。

現存するのですが、ではしっかり元の絵が再現して撮れるかというと、これがなかなかそうはいかず、誠に申し訳ないのですが、せいぜいこのくらいでごめんなさい、という写真になってしまいました。


1 上野清水観音堂は遠景で撮れる場所が無く、舞台に上がって手摺越しに撮りました。もとは17世紀に京都の鬼門を守る清水寺を模して上野寛永寺に建立されましたが、現在の建物は1996年に修復再建されたものだそうです。
2 満開の桜はなんとか画角に収めました。
3 異形ともいえる円形の「月の松」は2012年に現代の造園技術で復元された二代目(もとの松は明治時代に台風で失われたそうです)で、今は池の端ではなく清水の舞台のすぐ先に植えられています。見やすいように↓に別の写真を用意しました。
4 不忍池はもちろん現存するのですが、桜などの木立のせいでここからは見通せず構図に入れることを諦めました。

ということで、4要素すべて揃えてうまく写真にすることができませんでした。まことに残念。

月の松と清水堂を真正面下から望むとこういう感じです。


花見客で溢れる上野公園は清水堂の上も大盛況で、特に外国人観光客に人気でした。常に誰かこちらを覗いているか、月の松を背に自撮りしてるかという状態でしたので、この写真では円形の松の輪の中に人影が写りこまない瞬間を狙うのに結構苦労しました。

広重の絵ののんびりした感じが写真にできず、反省しきりですがここはこのくらいで切り上げましょう。せっかくの桜満開の日和なので、この足で百景の中の他の桜名所を回るべし。

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