九景 筋違内八ツ小路

歌川広重 名所江戸百景の九景は筋違内八ツ小路です。元の絵はこちら。
中仙道から外濠を渡って江戸市街に入る場所に設けられた城門と橋がそれぞれ筋違見附、筋違橋(すじかいばし)でした。江戸城内から上野方面に行く道と中山道方面の道が橋の北側で交差するので”筋違”と呼ばれたのだとか。

原題の”筋違内”は見附の内側という意味でしょうから手前に描かれた大名行列はこれから御門を出て中仙道を下っていくところでしょうか?

門内が広い空き地に見えるのは、ここが明歴の大火の後に造られた「火除空地」だからです。にわか勉強で知って、江戸時代にもあった防災政策にちょっと感心しました。方々からの道がこの広い空き地でひとつになるので「八ツ小路」というわけですね。

筋違橋は現存しないので、少し東側に後年に架けられた万世橋の南詰で道路や線路が交差するあたりを八ツ小路に見立てることにしました。
JRの高架下の地べたからの写真なので、俯瞰で描かれた広重の絵とは似ても似つきませんが、せめて空が広い感じだけでも寄せられないかと広角レンズを使ってみました。

江戸時代以来、外濠のこの辺りで位置や名前を変えながら何度も架け替えられた筋違橋、昌平橋、万世橋の変遷はなかなか面白いので興味があればリンク先をご一読ください。

写真右手前の人影は、当地の有名レストラン「肉の万世」の名物パーコーメンを食べたい人の行列の後端です。果たしてわたしも列に並んで万世さんのビルの上階まで上がり、厚かましく窓に寄ればワンチャン俯瞰の絵を撮る機会があったかどうか・・・。

↑の写真で左端をJRの高架が視野を遮っていますが、このあたりからお茶の水駅にかけて煉瓦造りの旧高架が平行して遺っていて、その高架下がBRICK MALLと称する良い雰囲気のレストラン街になっています。

朝のうちなのでまだ各店に灯りはついていませんが、万世橋の欄干越しに撮っておきましょう。

神田、お茶の水、秋葉原あたりはJRの山手線、中央線、総武線の高架が錯綜して走るので、「高架下」「ガード下」がやたら多い地域でもありますね。

江戸時代とはまた違う、現代東京の特徴的な百景と言えるかもしれません。今回の散歩中にとあるガード下で撮れた個人的に気に入っている1枚。

さてここが九景で、次の十景もこの近くなので、このまま足を伸ばしてみましょう。

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