村上春樹ライブラリー

作家の村上春樹さんとわたしは出身地がたまたま同じ(神戸)で、わずかですがローカル情報を知っています。毎年秋になると、今年こそノーベル文学賞の受賞!という期待が高まって、地元の高校の同窓会では受賞祝賀会が企画されては毎年流れているという状態なのだそうです。今年も残念でした。

しかし受賞するしないにかかわらず、この同郷の先輩(馴れ馴れしい)が日本と世界の文学史上に与えた影響の大きさと、珠玉の作品の数々の素晴らしさはけして色褪せることはありません。

若いころにデビュー作「風の歌を聴け」と出会い、「羊をめぐる冒険」で衝撃を受け、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」に酔いしれたのは・・・もう30年いや40年の昔です。それ以来、現在に至るまでわが読書ライフの節目・節目で(いくつか個人的に受け入れにくいものも含めて)幾多の名作/問題作と出会ってきました。最近は月に1度のラジオ番組で楽しいDJぶりを披露してくれていますね。

そんな村上春樹さんの研究ライブラリー(現役ばりばりの作家なので記念館とかいう感じではなくこうなる)が、母校の早稲田大学内に開設されたのが2021年、一度行ってみたいと思いつつこれまで機会を逸していましたが、先日思い切って訪ねてみました。

”村上春樹ライブラリー”は、早大の本拠地、早稲田キャンパス内の4号館「国際文学館」の別称です。

早稲田大学 国際文学館(村上春樹ライブラリー)
早稲田大学国際文学館オフィシャルサイト。国際色豊かな「文学の家」を皆様と創造していきます。

全景はこちら。

この特徴ある建築意匠はもしや、と思ったらその通り、隈研吾さんの設計(古いビルをリノベーション)によるものだそうです。村上作品から”時空を行き来するトンネル”をイメージされたのだとか。建物に絡みつくような木製の庇に開いた隙間に入り込むような正面入り口。

館内に入ると、すぐ正面でこの階段本棚が来訪者を出迎えます。たしかにまるで階下に降るトンネルのようなイメージ。

下から見上げるとこう。

館内は開架式の図書室のようになっており、世界各地版の村上作品や、評論・研究書籍が年代別に並んで自由に手に取って読むことができます。

言い忘れてましたが入場は無料。館内は「書籍への接写、動画撮影を除いて撮影は自由」という有難いルールです。平日午前にもかかわらず老若男女の来訪者が途切れません。

※今回は館内撮りに備えてLUMIX S5とLUMIX S14-28mmを用意してきました。広角レンズの本領をばっちり発揮してます。

世界各国版の「1Q84」。

日本で刊行された単行本が並んだ展示コーナー。な、懐かしい本がずらり。

本の背表紙の形で並べられた著作年譜(拡大すれば読めると思います)。いかに多作であるかがよくわかる展示。

それにしても、読んでないどころか、知らない村上著作のいかに多いことか!

簡単なスタジオ設備のあるイベントスペース。村上さん本人による朗読会などがここで開かれたこともあるようです。今月下旬には文学研究者によるシンポジウムが予定されていると告知されていました。

この施設は書籍だけの「ライブラリー」ではないようです。おそらく村上氏寄贈によると思われるアナログレコードが並びます。

村上さんが若いころにジャズ喫茶を経営していたことは良く知られています。照明も調度の設えも図書のコーナーとはちょっと雰囲気が変わって、この時はナットキングコールの曲がかけられていました。

半地下の1階はカフェがあって、このライブラリーを訪れた人だけでなく大学関係者に広く利用されている様子でした。

カフェに置かれているピアノは、村上さんのジャズ喫茶「ピーターキャット」に実際にライブ演奏に使われていたものだそうです。

というわけで、いろいろ感じるところの多い「村上春樹ライブラリー」初訪問の巻でした。これきりでなくまた再訪・再再訪したいものです。

それどころかわたし、早稲田大のキャンパス自体、大学生の時に1度だけ学園祭で来たきりウン十年ご無沙汰だったので、ほとんど初めてみたいなものです。早稲田かいわいをついでに散歩したのですが、その顛末は次回ということで。

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