藝祭2023

藝祭(げいさい)と聞いてなんのことかすぐわかる人は、あまりいないかもしれません。東京芸術大学の学園祭は昔からこのように称しているのだそうです。

芸大卒の学者やアーティストの同年代の知人がいて昔からいろいろとお世話になっているのでこの学校について少しは知っています。そこへ最近また新しい縁があって学園祭面白いよと声をかけてくれる人がいたので、ブログのネタに困っていることもあって、9月1~3日に開催された2023年度の藝祭に軽い気持ちでGF10+Leica DG15mm片手に出かけてみました。ところが・・・

軽い気持ちで行ったのは間違いでした。ごめんなさい。

まず9月になっても全く衰えない今年のこの猛暑。上野駅から徒歩10分の芸大に到着するまでにすでに全身がぐっしょり汗で濡れて、異常な高温にさらされた身体が悲鳴を上げます。それに加えて、小さなキャンパスに溢れるこの異常な人出の多さ。

これが美術学部正門付近。

絵画棟1階の展示室風景。

みなさん、この暑い中おおぜいでいったい何をしに来たの?
コロナ明けの久しぶりの正常開催ということも人気の後押しになったか、世の中に絵や彫刻や音楽が好きな人がこんなに沢山いるのか、と呆然とするほどの人波でした。異常な高気温と異常な人数の来場者のために建物内の空調はほぼ無力化されており、自販機の飲み物はことごとく売り切れ、模擬店のジュース/ビール売り場には長蛇の列、坐って休める場所も事欠き気味で・・・。

とにかく暑すぎて人が多すぎて、永世ビギナー写真愛好家が豊かな気持ちでスナップ撮りを楽しめる余裕はほぼ無く、わたしにとっては半ばサバイバルイベントと化した数時間でした。

念を押して強調しておきますが、芸大さんや藝祭の主催者さんはたぶん万全の迎撃態勢を取っておられます。しかし今年については猛暑と猛人出がその想定を少し超えてしまったのではないかと。

以上、言葉を尽くして「良い写真が撮れなかった言い訳」を連ねてみました。これ以降は言い訳抜きで藝祭スナップを何点か。

上野駅から国立東京博物館前を通って谷中へ至るこの緑深い通りを挟んで、芸大の音楽学部と美術学部(通称、音校と美校)のキャンパスが向かい合っています。

この写真は谷中方向から撮っていて、向かって左が音校、右が美校。上野駅と逆方向だから人通りは疎らです。

一方、駅から大学に至る上野公園内の遊歩道の両脇には藝祭期間限定で美校の学生さんたち手製のアクセサリー・雑貨ショップが並ぶイベントがあって大人気。ほとんど原宿・竹下通り状態で上下両方向とも思うように進めない混雑。

音校では、期間中は大小硬軟さまざまなパフォーマンスが目白押しで、一流奏者(学生とはいえ有名コンクールで上位入賞者目白押しの顔ぶれ)の演奏が無料で聴ける機会ということで、予約制のチケットはほとんど即日完売。当然ふらっと来たわたしが入場できるはずも無し。

美校の作品展示も↑の写真のような混雑ぶりですので、わたしが見て回れた範囲は限られるのですが、その中では日本画専攻の方々の絵画作品何点かに特に惹かれました。個々の作品の写真も撮りましたが勝手にブログに載せるのはアレですよね。自粛。

アート作品展示はわたしにとってわかりやすいものばかりではなく、難解なものもありました。


工芸の学生さん(だと思う)たちによる合作の展示作品のごく一部を切り取りました。大勢がそれぞれ作った素材を網にぶら下げて、重力と釣り合いながら相互に(芸術的に)作用するさまを・・・みたいな意図の展示だったようです・・・よく理解できてなくてほんとすみません。撮ろうと思った時点で何かを感じてはいると思うのですが何せ素養が乏しいもので。

これらと比べれば数段わかりやすいのが1年生の手による「神輿」作品。美術・音楽両学部の1年生が協力して神輿や法被の制作とパフォーマンスで出来栄えを競うコンテストを毎年やっているとのことです。今年の入賞(学長賞)作品はこちらの獅子の神輿。

周りの人影との対比でその巨大さが伝わるでしょうか? 制作の中心になったのは彫刻専攻の学生さん達らしく、流石の迫力です。

人混みを脱出して、音校の一角にある二棟並んだレンガ作りの由緒ありげな建物のうちのひとつをスナップ。
赤レンガ1号館、2号館はいずれも明治期の建物です。写真の2号館はもとは湯島にあった東京図書館で、後に東京美術学校開設時に最初の校舎としてここに移設されたものだそうです。静かな佇まいを前に歴史に圧倒されます。

というわけで、GF10+Leica DG15mm F1.7の組み合わせでの実質デビュー戦となる写真散歩でした。コンディションがかなり厳しかったのであまり満足いく撮影はできてませんが、このくらいの画角(35mm換算で30mm)で寄れる明るいレンズというのは思った通り実に使いやすいですね。最強スナップシューターを名乗るGRIII(28mm)が売れるのが改めて良くわかりました。

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