前回記事の顛末で、紆余曲折あって数年かかりましたが、ようやくsmc FA31mm F1.8 limited というレジェンドレンズをお迎えいたしました。
逆光耐性が増したと言われる最新のHD版ではなくsmc版です。わたしはフルサイズではなくAPSCで使うことになるので、小ぶりの付属フードを頼みとせず、ケラレない範囲でのフードの後付け拡張、巷の同レンズユーザーの間で「ウェポン化」と呼ばれる試みをしてみることにしました。
大仰な異名がついていますが、さほど大胆な加工(切るとか削るとか穴をあけるとか)をするわけではありません。
先人が切り開いたウェポン化ルートその1は、専用フードの内側で継手リングを重ねて先端が出たところに中望遠用のねじ込み式フードを付ける、というものです。ネットで「FA31mm ウェポン化」で画像検索すると山ほど出てくる作品の数々(笑)は、大半がこのルート。先端にメスねじのきってあるフードを使うことで、フィルターやハメ込み式のレンズキャップも付けられて便利、とのことです。
ただ、わたしの見方では、このルート1には難点があって、
①”ウェポン化界”で一世を風靡した継手リング・フード発売元の八仙堂さんはすでに閉店されていて、類似品ではちょうど良いリング高が稼げる58mm径オス-オスとメス-メスの継手リングを揃えることは難しい。入手しやすいオス-メスリングを3つ以上重ねて代用することになるが、リング・フード共にどのサプライヤーの品がどんな風に収まるのか不明で、試行錯誤を強いられる。
②そもそもこの形式だと、レンズの先にネジ込み式の中望遠フードを固定することになって、せっかく小型で軽快なこのレンズの興趣が大きく殺がれてしまう。
そこで後発ながら勢力を伸ばしたのがウェポン化ルートその2で、専用フードの内側にフジツボ型フードを加えるというもの。具体的には、58mm→52mmのステップダウンリングをかませたうえで、コシナ フォクトレンダーLH-40Nというフジツボ(ドーム)型のフードを付けるという成功例が報告されています。
これなら後付けしたフードがオリジナルのフードの内側に収まるので大きくならず、純正のかぶせ式キャップもそのまま使えます。
しかしルート2も、諸手を挙げて支持しにくい点があります。
①LH-40Nというフードがすでにディスコンになっていて入手しにくい
②オリジナルのかぶせ式キャップは落としやすいので、できれば使わずに仕舞っておきたい(貧乏性)
➂フィルターワークがやりにくくなってしまう
ということで、わたしはその後さらに研究が進んで発展した”ウェポン化界”の知見(笑)を使わせていただいて、ルートその3を進むことにしました。
レンズ側から順番に、
1)保護フィルター 58mm
2)ステップダウンリング 58mm→46mm
3)ステップアップリング 46mm→58mm
4)継手リング 58mm オス-メス
と重ねて、2)3)の2つのリングで疑似的にフジツボ型フードと同じ遮光効果を生もうというものです。実物はこうなります。
レンズの前から見ると
横から見ると
落としやすそうなかぶせ式のキャップの代わりに、PENTAXの純正プラキャップO-LC58が付けられます。
上記の1)2)3)だけで疑似フジツボ部は完成するのに、さらにその先に4)を付けるのは、写真でわかるように、オリジナルのフードの先端を越えるところまで後付けフードを伸ばして、レンズ交換の時に下向けに置きやすくしたいという狙いです。遮光効果もわずかに上がるだろうし。
手元の道具では1)の方が4)より厚みがあるので、少しでもフジツボのフード効果が高まるかもとこの順番にしていますが、こだわらずに1)4)逆にした方が、汚れた時に拭きやすいなどのメリットが大きいかもしれません。おいおい考えていきます。
また、他の方の研究報告によると46mm径よりもさらに小さくステップダウンしてもケラレないらしいのですが、国内ブランドMARUMIのリングだと46mmが限界で、わたしはこれで良しとしています。
考えてみると、これまでもFA43mmにDA40mm用のフジツボ型フードを流用したり、DA20-40mmの扱いにくい純正フードを継手リングで代替したり、PENTAX使いの先人の工夫には色々学ばせていただいているわけです。今回のウェポン化も色々な情報源で勉強しつつ、同好の諸先輩のエネルギーに触れられて楽しかったですね。
で、大事なのはここから。このウェポンでどんな写真を撮るかということです。がんばります。