京都 インクライン散歩

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今年のゴールデンウィークは、懲りもせずまた京都に遊びに行ってきました。

正午近い時刻に京都駅に到着してみると、予想通りの大混雑。既にコインロッカーに空きは無く、手荷物預かり所は長蛇の列。一瞬怯みましたが、思いついて今回の投宿先である二条の一軒宿のご主人に電話を入れてみたところ、宿で荷物を預かってくださるとの有難いお言葉。助かった!

無事にスーツケースから解放されたところで、さてどこへ行こう?
陽が暮れるまでなんとか雨には降られずにすみそうですが・・・

ということで、まずやってきたのこちら、蹴上のインクライン。

桜の季節ほどの混雑はありません。人影が程よくあって、半分くらいはカメラ親父とカメラ女子(笑)。薄曇りの長閑な新緑風景です。

山の上までやってきている琵琶湖疎水を、用水だけでなく水運にも使おうと、高低差のある京都市中の運河との間で舟の上げ下げをするために作られた、傾斜鉄道の線路跡です。

真ん中に写っている2本の軌条が一対の線路、ではなく、左右大外に2本の軌条が見えている”複線”仕様です。上りと下りの運搬台車をケーブルで繋いで、最上部で巻き上げ/巻き降しがおこなわれたようです。その動力として、疎水の水の落差を利用した水力発電所が作られた(関西電力 蹴上発電所として今も現役!)というから、かなりスケールの大きな公共投資だったと思われます。

このインクライン、明治24年から昭和23年までバリバリの実用設備として活躍して(こういう時は西暦でない方が時代背景がわかりやすい)、一度はあえなく撤去されたものの、その後産業遺産として復元保存されて現在に至ります。

・・・というような話は面白いですがきりがないので、写真散歩に戻りましょう。地下鉄の蹴上駅を出て左に坂を上がると、インクラインの最上部に登れる小径があります。

これがその最上部。正面トンネルが琵琶湖第1疎水の大疎水の水路、鉄柵の交わるあたりで左から来る第2疎水が合流している(らしい)と聞きました。

水力発電所は現役、と前述しましたが、すぐ近くでその設備の一部を見ることができます。

インクライン線路跡ふたたび。縦位置無人バージョンです。

今回の旅行中はほぼHD DA16-85mmを付けっぱなしでしたが、唯一この場所このアングルでだけ、DA50mm F1.8が活躍しました。

盛り土で高台になっているインクラインの下を横切る、小さなトンネル。レンガを斜めに組み上げたいわゆる「ねじりまんぽ」は、インクラインの荷重に耐えるために、このように設計されたと言われています。

ねじりまんぽのところでインクラインを後にして、南禅寺方面に向かいます。

疎水の水、なのかどうかわかりませんが、道端の小さな水路の流れが綺麗だったので少しシャッター速度を落として撮ってみました。新緑の葉が落ちて流れているのがこの季節らしさですね。

このあたりはすでに臨済宗大本山南禅寺の山内で、各寺院の間を縫って歩いています。道にはゴミひとつ落ちておらず、水の流れも、花や木の表情も清々しく整えられていて、お寺さんというのはたいしたものだなあ、と感心します。

ということで、インクラインから、次回の散歩の舞台は南禅寺へと続きます。
最後まで見ていただいてありがとうございました。

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