ふとしたきっかけでこれまでチェックしていなかったRAW現像ツール、DxO PhotoLabを知りました。すでに先月末に体験版PhotoLab7を入手済みで触りはじめたところで、ためしに前々回の記事で上野公園で撮ったあたりからこのツールで写真を仕上げてみています。
公式サイトはこちらですね。
これまでRAW現像ツールを、Digital Camera Utility(Pentax純正)、Adobe Lightroom、Luminar(試用)、darktable(試用)、RawTherapeeと使ってきて、現在はRawTherapeeの派生モデルARTに落ち着いています。ここ2年あまりARTを愛用してきましたが、今回PhotoLab7にちょっと心を惹かれて浮気中というわけです。
ARTとPhotoLab7を比べると、今のところ次のような違いを感じています。
・両ツールとも多機能でたいていのことができる中で、明らかにPhotoLab7の方が得意で優位性がある機能が2つある。すなわち「ノイズ除去」と「シャープネス補正」。
・ARTは各メニューが概ね全手動なのに対して、PhotoLab7はある程度ソフトウェアに調整を任せてしまえる。任せて良しとするかどうかは、使い手の考え方次第。
・なんといってもARTは無料
一瞬話が横道にそれますが、ARTにある「かすみの除去」はとても便利な機能で、靄がかかったような鈍い画像を強弱自在にクッキリハッキリさせることができて重宝します。Raw現像ツールには最近では必携の機能になっていて、もちろんPhotoLab7でも同様のことができます。
ただし、そのメリットと引きかえに各ツールで共通に見られるデメリットもあって、かすみを除去すると画面全体にノイズが乗って絵が荒れます。ぱっと見でわからなくても拡大して見ると「うわっ」ということがよくある。
で、話を戻すと、PhotoLab7でいったん「かすみの除去」でノイズを載せた上で、別の機能でそれを取り除くというのを試してみました。
下の画像は前回記事の「上野松坂屋前の写真」にかすみの除去(このツールではClearView Plusという名前)をかけた上で、一部を拡大して切り出したものです。細部を拡大して見るとそれなりにノイズが乗って荒れていて、エッジ部分も切れ味無く崩れているのがわかります。
これに補正をかけると(左が補正前、右が補正後)、ノイズがぐっと減ってエッジがシャープに再生しています。再生というか、ClearView Plus をかける前よりもクリアなくらいです。
この手の処理でありがちな「ぬり絵っぽさ」もうまく回避できているように見えます。シャープネスが増したというか、そんなことは起こるはずないのに元の写真で甘かったピントがジャスピンに修正されたという感じすらします。ノイズ除去とシャープネス補正それぞれ別々だとどれくらい効果があるのかなど、これからおいおい検証していこうかと。
ちなみに、ARTとPhotoLab7で同じくらいの強さでかすみの除去をかけてRAW現像すると、やはり同じようにノイズが乗って荒れて↓のように良く似た絵になる(微妙に明るさや色味が違ってすみません)ので、補正前のPhotoLab7の画質がことさら悪いというわけではないのです。
劇的と言ってよい(と私は思います)これだけの効果を目の当たりにして、凄いなこいつ、できるヤツだな、と感心したのですが、手放しで褒め称えにくい点がひとつ。PhotoLab7は概ね操作感の軽いツールなのですが、ノイズを除去するときにはぐぐっと重たくなり、それなりのマシンパワーを要求されます。
わたしのか弱いノートPCだと、2400万画素の画像1点についてDeep PRIME XD+シャープネス補正という一番負荷のかかる処理でjpg出力するのに、冷却ファンが唸りを上げて回って頑張った挙句に目測で1分20秒かかりました。
また、PhotoLab7には編集した画像をRAWデータのままDNG形式で出力・保存できるので他のツール(例えばARTやLightroom)にDNGで渡してRAW現像を引き継ぐこともできてしまいます。ただしこのRAWデータ出力はPCに対していっそう高負荷をかけるようで、ノイズ除去してDNG出力してみたらさらに処理時間が伸びて今度は1点あたり1分40秒。
せっかくの優れた機能ですが、わたしの現装備では多用するのは難しそうです。ここはひとつ考えどころ。