只見線 2023初夏 -5

只見線撮影行の第3日です。

前日は始発列車が第一橋梁を渡るところを川岸の通称「船着き場ポイント」から狙いましたが、川霧に阻まれて水墨画もどきの写真しか撮れませんでした。この日は朝から既に薄日が差しているので、視界と光量については悪くないコンディションで撮れるかもしれません。

というわけで再び第一只見川橋梁(会津桧原-会津西方間)での撮影です。青空を期待して山の上のビューポイントから俯瞰で撮るか、もう一度川岸から挑むか迷いましたが、移動途中の様子では風がほとんど無くて川面の水鏡が狙えそうだったので、ここは下からと決めました。

前日と同じように桧原集落を抜けて船着き場に到着。三脚を据えて二十分、風吹くなよ、吹くなよと念じつつ待ちました。願いが通じたのかどうか、この朝はまずまずのこんな写真が撮れました。

6:03 第一只見川橋梁 会津若松行き(左方向)422D

似たような構図で、同じK-3IIIとDA50-135mmを使って昨秋にも同じ場所から撮りましたが、新緑の美しさと水鏡の見事さで今回の方が自己満足度は高いです。

同時にサブ機のGF10+12-32mmでも少し構図を変えて撮りました。

空が綺麗に晴れていれば、こっちの方が面白かったかも。

2日続けての早朝の船着き場で、2日続けてご一緒した同好の方がおられました。聞けば農業者の方で、農繁期で忙しいけれど時間をやり繰りして毎日のように通っていらっしゃるそうです。凄いなあ。「只見線を300日撮る男」は、星先生だけでなく人知れずたくさんおられるのかもしれません。

船着き場を後にして、柳津町田園風景(会津坂本-会津柳津間)撮りにもう一度挑戦。場所を少し変えて、今度は朝の光で爽快に撮ろうという趣向です。いかがでしょう。

7:00 柳津田園風景 小出行き(右方向)423D

実は前日夕方にロケハン済みで、ここに立って16-50mmでこう狙えば良い絵になるのではないかと想像していました。しかし実際の青空の爽やかさと水鏡の見事さは想像以上でしたね。思わず心の中で拍手しました。

しかしあまり良い余韻に浸る暇はないのです。今からこの423Dを追いかけて第二只見川橋梁(会津西方-会津宮下間)で撮らねばならんのです。朝の只見線撮りはなかなか忙しい。

なんとか追いつき、追い越して第二橋梁わきにクルマを停めましたが、もう列車の到来が迫っています。撮影場所も構図もあまり吟味している時間はなく、えいや、と見切りでショット。

7:27 第二只見川橋梁 小出行き(右方向)423D

これもDA16-50mm。あまり考えないで撮ったわりにうまくいったというか、明るい感じの額縁構図になって面白い絵作りになりました。考えない方がうまくいくのかも。

逆によく考えて、次の列車をじっくり待って撮ったこの写真は失敗(苦笑)。

7:37 只見川第二橋梁 会津若松行き(左方向)424D

列車ちっさ!橋梁と列車の大きさの比率を完全に読み誤りました。というか、さっき1枚撮ってるんだから判れよ>自分。

朝から水鏡の写真で2つ成功体験を積んだので、ここでも、と欲張って墓穴を掘った面もありますね。この構図では水鏡の効果は限定的です。もう少し違う撮り方を考えるべきでした。結果論だけと日向側の歳時記橋まで行って望遠で狙った方がよかったかも・・・ぶつぶつ。

ハイ気を取り直して次。
跨線橋から駅を撮る構図がなかなか良さそうだという狙いを持って滝谷駅に向かいます。

今度は少し余裕をもって着いたので、無人の駅風景をちょっと撮ってみたりしました。

空気がひんやりとして清々しい、谷あいの静かな駅です。上の写真で見えているのが目当てにしてきた跨線橋です。

跨線橋の上から見える駅とは反対側の風景もなかなか素敵でした。深い森の中を一直線に列車が近づいてくる絵が撮れるので望遠で狙ったのですが、ピント合わせに大失敗で残念ながらボツになりました。

駅側もピントにはだいぶ苦労したのですが、なんとか許容できるショットがいくつか残せたので、そのうちの1枚を載せておきます。

8:55 滝谷駅 会津川口行(奥方向)425D

駅のすぐ向こうが滝谷川の渓谷で、駅を出たこの列車はカーブの先で第1日の最初に撮った滝谷川橋梁を渡っていくことになります。川の方は橋梁の下から写真で言えば左に向かって流れて、まもなく只見川に合流します。

只見川の流れはこの先で柳津町から会津坂下町へ北上し、喜多方市内で阿賀川という川に合流します。河川の体系としては只見川はこの阿賀川の大きな支川という位置づけにあたり、本川の阿賀川は南会津の水源から会津盆地を北に向かって縦断し、やがて新潟県に入って阿賀野川と名前が変わって日本海に注ぎこみます。信濃川とともに新潟平野を作った大河だそうです。

ここまで足掛け3日にわたり只見川中流域の山間部で絶景鉄道風景撮りを楽しんできましたが、ここで只見川に別れを告げ、山間部から会津若松市内に向かいました。只見線が本川の阿賀川を渡る様子も撮っておきたくて、大川橋梁(西若松-会津本郷間)を目指したのです。

川幅がずっと広いので、これまでの只見川橋梁とはずいぶん雰囲気が違います。

10:09 大川橋梁 臨時列車小出行き(左方向)9425D

橋梁の向こうに、磐梯山の山影が霞んで見えていて、いかにも会津らしい風景です。

さて、山から市街に降りてきてしまいましたが、只見線を撮るという意味ではまだ行くべきところが残っています。橋梁撮りではありませんが、七日町駅に行ってみましょう。

駅から中心市街に向かう七日町通りはレトロな街並みを活かした会津若松の観光拠点になっていて、郷愁を誘う旧い駅舎はカフェや雑貨店として活用されています(駅そのものは無人)。

ちょうど只見線の会津若松行き列車がやってきました。
10:58 七日町駅 会津若松行き(手前方向)426D

ところで、駅のホームで写真を撮っていたら無人駅なのに突然構内放送が流れて驚きました。隣の会津若松駅に居る職員の方による、リモートでの列車遅延案内放送でした。

最後の写真は、同じく駅のホーム上から北方をを望む1枚です。この先に終着駅の会津若松駅があるんだな、と。

ここからも会津のシンボルの山がしっかり見えますね。数回にわたって掲載してきた「只見線を3日だけ撮る男 2023」の締めくくりとして、駅から見える宝の山・磐梯山の姿というのは悪くないのではないかと思います。

昨秋につづき、今回もおおいに楽しめた初夏の撮影行でした。自己満足の素人写真と駄文を最後まで見ていただいて、ありがとうございます。

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