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洛北の圓光寺は、瑞厳山という強そうな山号を持つ臨済宗のお寺です。禅の教えを形にしたと言われる「十牛の庭」と秋の紅葉で有名ですが、今回境内を散歩した私には、ちょっと違うところがツボにはまりました。
ひとつは見事な竹林。
青もみじと組み合わせてこれほど絵になる背景は、他にそう無いのでは。
山裾に建つ寺の後背斜面に沿って、背の高い竹林が静かに広がっています。
春ですから、足元には新しい筍がどんどん顔を出して、見る間にぐんぐん伸びてきます。
大げさでなく、数分眺めていると少し先端が伸びるのがわかる。↑の写真は「たけのこ」と呼ぶには少しサイズが大きいですが、面白い絵になりました。
徳川家康が開いたお寺だそうですから、家康に仕えたこともある石川丈山が近くに詩仙堂を開いたのと、そう変わらない時代にできたのでしょう。家康公のもとでしくじった丈山とはいえ、近所のよしみで立ち寄って交流した、なんてことが、あったのかな。全く知識のない私の勝手な妄想ですが。
圓光寺で私的にツボにきたポイントのもうひとつは、この水琴窟。
構造がわかるような説明的な写真も撮ったのですが、それだと少しつまらないので、こんな、知らない人には全く判らない写真になってしまいました。
鉢の手前の足元には甕が伏せて埋められていて、大小の石が上を向いた甕底を覆っています。ひしゃくで水をとってこれらの石に掛けると、石伝いに少しづつ水が流れて、甕底の穴から入って雫となって落ちます。その大粒小粒の雫が、伏せた甕の口に溜まった水面を打ち、甕の内面に共鳴して
ピン ピン ピン
コロン コロン
と、それはそれは美しい、高低さまざまな音色を奏でるのです。言葉ではわかりにくいですかね。日本水琴窟フォーラムさんのサイトのわかりやすい解説はこちらです
実は前日に行った永観堂にも、少し形が違う水琴窟があって、独特の静謐な水琴の音を、連日楽しむことができました。ラッキーです。
そして、十牛の庭です。牛の形に(禅的に心を研ぎ澄ませば)見えるという岩が十個ある、というのですが、私はこの日雑念が多かったのか、そっち方面には心がはたらきませんでした。
ひたすら、苔むす庭に新緑が映えて綺麗だな、と。
うって変わってモノトーンの石庭。こちらの方が禅寺だということを、直接的に
わかりやすく示してくれますかね。
絢爛たる牡丹の花(前回記事)で始まって、石庭で渋く締めた圓光寺散歩でした。
最後は、山を少し登った高台から一望の風景。曇り空が残念ですが、禅の心に思いを馳せ、少し思索的な気分で眺めるにはこれもまた良し、でしょうか。
登ってくるのに少し足を使ったので、膝が笑った私はあまり思索の余裕はありませんでしたが(笑)。
ということで、圓光寺散歩の巻でした。
ゴールデンウィーク京都編の写真、ひとまずこれにて幕となります。最後まで見ていただいて、ありがとうございました。