夜のパリ ブラッサイ

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今橋映子先生の「パリ写真の世紀」を2ヶ月がかりで読んで、今さらながら写真表現の現代史を少しだけ学んだ私です。難しい話は理解できていないので脇に置いておくとして、ロベール・ドアノーとブラッサイという2人の写真家の作品に興味を持ちました。

写真集の良い出物はないかなあ、と神田の古書店街とか歩いてみましたが、そう簡単に探せるわけもなく、たまさか見かけたとしても、1930年代の写真集ともなると良い状態のものは希少で、それなりに震えるお値段が付いているということも学びました。
うーん。ど素人が簡単に手が出せるもんじゃないね・・・。

で、思い余って、ブラッサイの「夜のパリ」復刻版(英国版)を密林書房で注文して買ってしまいました。こちらです。

第一次・第二次大戦の間のパリ、不穏と退廃が半ばする芸術都市。その夜の灯りに浮かび上がる”不安定な安定”の表情をとらえた、見る人の息をのませる写真集だと私は思います。

モノクロ写真は光と形の芸術だと思っていましたが、光の対極にある影、影すなわち黒色の芸術でもある、ということを強く感じました。暗黒、漆黒、墨、消炭、鈍色、薄墨・・・黒色のいろんな魅力に改めて気づかされました。

数千円でこれが手に入るなら安い買い物。

#復刻版に収録されている英語のエッセイは・・・私には不要でした(爆)

wikiによれば、ブラッサイは1899年ハンガリー領トランシルバニアの生まれ。本名ではなく、故郷の街ブラッショーを形容詞っぽくした通り名ブラッシャイが、パリに移住してフランス式にブラッサイと呼ばれるようになり、これが日本でも定着してしまったようです。

ユダヤ系だったらしいが異説もあるとのこと。ハンガリー人でユダヤ系、なるほどナチスの迫害を逃れてパリに来たんだね、と早とちりしかけましたが、実際は1920年からベルリンでジャーナリストとして活動し、1924年にパリ移住ということなので、どういう経緯でパリの写真家/芸術家となったのかは、もうちょっと勉強しないとわかりません。

今橋先生の「ブラッサイ パリの越境者」も手に入れて読んでみようかな。
いや、ブラッサイ本人に関心を持つ・持たないに関わらず、この写真集は素晴らしいです。

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