「パリ郊外」ロベール・ドアノー写真集

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リコーGR IIIが発売されて、なかなか好調な売れ行きのようです。
私は直接のユーザーではありませんが、これでリコーイメージングがそこそこ潤ってくれて、PENTAXブランドへの投資余力が生まれてくれることを微かに期待中。

などという無粋な話はさておき、GR IIIのカタログはまるで写真集のように素敵で、パリのストリートスナップを中心とした菅原一剛さんの見事な作品が集められていて、ストリートフォト愛好家必見の出来映えです。

先月、新宿のリコーイメージングスクエアで、その作品を集めた「GR III in Paris」という写真展が催されていて、偶然見る機会がありました。作品現物はカタログよりもさらに魅力倍増でした。

写真家の力量とカメラの性能が文句なく素晴らしいのですが、それとは別に思ったこと。

カッコいいなあ、絵になるなあ。やっぱストリートフォトは、パリに始まり、パリに終わるな(謎の感想)。

昨年のCP+2018で今橋先生の講演を聞いて「パリ写真の世紀」を知り、少々難しい本でしたが頑張って読み、感銘を受けました。その勢いでブラッサイの「夜のパリ」も買っちゃったりもしました。

そして今回、写真展を見て、パリ写真熱が再び私の中で盛り上がりました。

前置き長くなってすみません。この写真集をポチってしまいました。

ロベール・ドアノーの写真と、ブレーズ・サンドラールのエッセイからなる「パリ郊外」。日本語版と英語版があるようですが、私が入手したのは1992年リブロポート刊の日本語版です。

ドアノーの写真が、いいんですよ。

1940年代。彼自身が生まれ育った場所でもある、殺伐としたパリ郊外の暮らし。ドアノーのストリートフォトは、有名な「市庁舎前のキス」とは違ってビターな味わいです。ビターですが、シニカルではなく、そこはかとないユーモアも感じられて、なんとも懐の深さを感じる写真集です。

そういう文学的なコンテキストをそぎ落として、単純にモノクロのストリートフォト作品集として見たとしても、十分に素晴らしいと私には思えました。人気の古書らしく、ものによっては数万円の値がついているようですが、私は少々難ありの数千円の一冊で十分楽しめました。

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