歌川広重の「名所江戸百景」の百十一景は 千束の池袈裟懸松、元の絵はこちらです。
「洗足池」と字が変わっていますが今も池は健在で、千束の字の方もこのあたりの住所表記(南千束)にちゃんと残っています。なんと「袈裟懸けの松」も現地の日蓮宗妙福寺の境内で(当時と代変わりしている可能性が高いとはいえ)保存されていますから「百景」では稀にみる「昔のままの風景」が撮れるのでは、と期待されました。
しかしまあ、そううまくはいかないもので現地の撮影条件はなかなか厳しく、せいぜいこのくらいということになりました。
ちょうどここから撮りたい、という位置は洗足池ボートハウスの自転車駐輪場で、なんとか金網越しに手を出して撮りましたが、元の絵の味のある藁葺ではなく無粋な工事用プレハブ(いや、必要だからここにあるのだと判ってはいますがついそう感じてしまう)が建っていて邪魔になり、上から茂る街路樹に上空を塞がれ、「袈裟懸けの松」があるべき場所の木立もやたら大きくて視界を遮り・・・。ううむ。
とはいえ、ちょうどよい位置に形の良い小さな松の木を植えてくれているのは有難いことです。
「ここに松の木がほしいよね、わかってるよ」
という妙福寺または品川区のご厚意なのだろうと想像します。心が和みます。日蓮上人がこの地に立ち寄って松の木に袈裟を掛けて休み、足を洗った(だから「洗足池」)という言い伝えがあるのだそうです。
冬の凛とした空気の流れる、妙福寺境内。
池の端の上記の小さな松の木とは別に、境内には確かに「袈裟懸けの松」が保存されています。隣に植樹された「六代目 袈裟懸けの松」も大きく伸びていました。が、これらは良い感じの写真が撮りにくいロケーションだったので掲載は見送ります。ご興味あればどうか現地へ。
この日はあいにく雲が出ていて空の色も池の水の色も今一つ冴えません。でもかえってこのくらいの方が寒々とした冬の景色としては相応しいのかもしれません。
越冬中の水鳥もそれなりに元気そうだし、寒風の中で足漕ぎボートを出している酔狂な、もとい元気な人もいて、何よりです。


![広重名所江戸百景 望月義也コレクション [ 望月義也 ]](https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/book/cabinet/0032/9784772610032.jpg?_ex=128x128)

