飯田線 撮り歩き -6 為栗

JR飯田線にはたくさんの「秘境駅」と呼ばれる利用者の少ない到達困難な駅があります。そのひとつが今回訪ねる為栗駅。

朝、始発列車で飯田を発って、他の駅に先に向かうためにいったん通り過ぎた時には、この駅はまだ深い山霧の中でした。車窓からいい加減に撮った1枚ですが雰囲気は伝わるかと。

その2時間後、下り列車で戻ってきたら、運よく霧はほとんど晴れてくれて、駅周辺はこの絶景。

天竜川はこのあたりでは平岡ダムでせき止められて湖のようになっているので、水面が凪いでエメラルド色の鏡のように輝いています。美しい。

写真の吊り橋まで河畔の駅から徒歩2分。逆に吊り橋の上から駅はこう見えています。

吊り橋の周りの森はしっかり紅葉が進んでいて、朱色と黄色と、常緑樹の緑といくらかの枯れ枝の織りなす複雑な色模様です。

わたし以外誰もいない中、今回の小旅行の中でもクライマックスと言うべき最高の絶景に囲まれて、憑かれるようにシャッターを切り続けた至福の1時間でした。

そうこうしているうちに霧もすっかり晴れて吊り橋の下の砂浜にも陽が射しはじめ、やがて1人、2人と釣り人の姿が見えはじめました。

吊り橋の対岸までは、道を良く知っている人が慎重に運転すれば入って来られるらしいので、そういうルートでやって来られたのでしょうか。

景色が美しすぎて、あやうく旅鉄の本分を怠るところでした。そろそろ為栗駅に戻りましょう。

到着した時は他に誰もいませんでしたが、この1時間余りの間に駅で列車を待つ人がもう一人、吊り橋の向こうからやって来ていました。

さてここまで、勿体ぶってこの難読駅の読み方を明かしておりませんでした。
為栗と書いて してぐり と読みます。
他にも、飯田線のこのあたりは難読駅がいっぱい。鶯巣(うぐす)、中井侍(なかいさむらい)、大嵐(おおぞれ)、水窪(みさくぼ)、向市場(むかいちば)・・・初見で読める人はなかなかいないでしょう。

ようやく、上り豊橋行きがやってきました。

名残惜しいですが、為栗駅とお別れです。是非とも再訪したいものですが、果たしてこれほどの好条件に恵まれることが二度とあるかどうか。

次回は平岡駅で上りの特急を待合せます。

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