五十景 増上寺塔赤羽根

歌川広重「名所江戸百景」の五十景は 増上寺塔赤羽根、元の絵はこちらです。

夏の暑さが一瞬和らいだ(ような気がした)ので意を決してLumix S5を携えて撮り歩きに出かけたのですが、和らいだはずの暑さに裏切られ、そこにあるはずの景色が無いのに裏切られ、散々でした。

まず、例によって高所俯瞰の絵はそう簡単に撮れないので地べたから見上げることしかできません。まあ、仮に鳥の眼で見渡せたとしても古川の流れは首都高速が蓋をしていて、川面も赤羽橋も見えないと思いますが。

あと何より、広重画伯の絵の主題になっている増上寺の五重塔(台徳院宝塔)は1945年(昭和20年)の東京大空襲で焼失してしまい遺構ごと現存しません。写真では山門の屋根の端をそれっぽく切り取って、元の絵の色調に倣って少しホワイトバランスを調整してみましたが・・・これが限界。

もともと画伯の描いた当時の塔も1806年の大火で失われたあとに江戸幕府によって再建されたものだったようです。五重塔の歴史はこのサイト↓でにわか勉強しました。

芝増上寺の五重塔 | 大江戸歴史散歩を楽しむ会
芝増上寺の五重塔二代将軍秀忠は、寛永9年(1632)に薨去され、芝増上寺が菩提寺となった。承応年間(1652~54)に老中酒井忠清が秀忠(台徳院)の供養塔...

古地図を見る限りでは、オリジナルの塔は広かった増上寺境内のかなり南西寄りにあったように見えます。いまだとの境内の外れか芝公園の一角にあたるかも。

旧台徳院惣門は東京大空襲で焼失を免れて現存する貴重な文化財です。旧台徳院は増上寺内に設けられた徳川秀忠の霊廟で、五重塔はその宝塔として建立されたということですから、まさにこの惣門の後方、東京タワーとプリンスホテルのタワーの間のどこかにかつて聳えていたに違いありません。

在りし日の五重塔を夢想して静かな気持ちになるには・・・この日は暑すぎました。夢想は別の機会にゆっくり楽しむとして、早く空調の効いた空間に避難しないと危険です(苦笑)。

今回の”百景”撮影地

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