歌川広重「名所江戸百景」の三十三景は 四ツ木通用水引ふね(よつぎとおりようすいひきふね)、元の絵はこちらです。
亀戸江戸時代には水戸方面に向かう近道として引き舟(小舟に旅客を載せて、岸に居る人足が舟に繋いだ綱を曳いて進む)が通った水路がここにあったそうです。治水灌漑のために人工的に開削されたものので実際には真っすぐな流れだったのですが、広重画伯はお得意の奇想でS字に曲げて遠くまで俯瞰で見せ、おまけに雲の向こうの筑波山だか日光だかの山並みまで添えて仕上げています。いつも言ってますが、いくら江戸時代でもそこまで見えません(苦笑)。
この水路、わたしが見た古地図では綾瀬川という名前がついていて、この名は現在まで継承されています。というわけで2025年の現地、葛飾区四ツ木付近の綾瀬川の様子がこちら。
川の上流に向かい北西方向を眺めています。左土手の向こうが平行する荒川の流れ、右側が首都高速中央環状線の高架ということで、往事とほぼ同じ場所に立っているはずなのですが、景色はずいぶん違ってしまっていますね(下段の地図を見るとわかりやすいかと)。
首都高はともかくとして、昔の絵にはここに隣接する大きな川は描かれていません。なぜここに忽然と表れたのでしょうか?
ちょっと調べてみたら、これは広重画伯の魔法ではなくて確かに江戸時代にはこのあたりに「荒川」はありません。明治以降、首都の治水を目的に何度かおこなわれた大工事の末にここに巨大な放水路が新たに造られて、それを今わたしたちは「荒川」と呼んでいるのだそうです。
綾瀬川どころか荒川も人工河川。ちょっとびっくりしませんか?
手前が綾瀬川。土手の向こうで鉄橋のトラスがかかっているのが荒川です。
薄曇りの天気に加えて、この日はけっこう黄砂が舞っていたのでスカイツリーの姿がすっかり霞んでしまいました。
四ツ木で、荒川のほかにもうひとつ驚いたこと。
最寄りの京成電鉄四ツ木駅が凄い駅でした。
当地は、世界中でサッカー少年を育んだ名作「キャプテン翼」の作者、高橋陽一先生の出身地なのだそうです。だから四ツ木駅はほぼキャプテン翼駅。
構内はキャプ翼キャラクターで埋め尽くされています。
録音し損ねましたが、ホームや駅構内に流れる案内音声もアニメCV。
こんなことになっているとは全然知らずに降り立ったので、いや驚きました。


![広重名所江戸百景 望月義也コレクション [ 望月義也 ]](https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/book/cabinet/0032/9784772610032.jpg?_ex=128x128)

