今森光彦 にっぽんの里山 展

夏の暑さにめげてすっかり撮るのを諦めて、”見る専”を決め込んでいるわたしです。
この日は恵比寿の東京都写真美術館まで出かけてきました。

美術館の正面アプローチには私の大好きなドアノー「パリ市庁舎前のキス」ほか何点かの著名な巨大写真が飾られていてテンション上がります。

目当ては、今森光彦「にっぽん里山」展です。なんとなく、夏休みの避暑旅行前に観ておくと良いのではという予感がしたのですが、これが大正解でした。

というか、酷暑の中で世界を呪いながら出かけて、写真展のあまりの美しさ、誠実さ、折り目正しさにすっかり心を洗われて静かな気分になって帰ってきました。今森先生、ありがとうございました。

↑のチラシ写真は残雪の山を背景にカタクリの花とギフチョウをとらえたもので、ネイチャー写真としての完成度が凄いです。それ以上に、写真展全体として「自然と人が関わり共に生きる場所(=今森先生の考える”里山”)」をフィールドと定めて淡々と被写体を追う写真家の自信と言うか確信というか、無言の力に圧倒されます。

漁火と棚田とか、茶摘み俯瞰とか、さすがの題材選びと構図に感嘆することしばし。さらに雑木林の石仏に差す光の陰影、何気ない農作業風景などの「巧まざる」作品に深く心を動かされました。

9月中旬まで会期が残っているそうなので、是非お勧めしておきたいです。

東京都写真美術館
東京都写真美術館

展示全作品を食い入るように見て、唸って、座り込んでしばし沈思黙考し、それだけで足らず図録写真集を購入して帰宅してから眺めてはため息をついて呆けています。この写真展はなんかお腹にすとんと入りました。一流の写真家には到底近づけもしない永世ビギナーではあるけれども、自分が撮りたい「風景写真」はこういう世界なんだな、と。

卑近な例で改めて思い知ったのは「隅々までしっかりピントの合った写真を撮る」ことの重要性と威力。、自分に圧倒的に足りない基礎的な技術的欠点。

ところで、恵比寿駅からガーデンプレイズ内の東京都美術館までは結構距離があるので、この気候の中で生きて辿り着けるのか若干不安視していたのですが、なんと途中の長い長い(「動く歩道」付きの)回廊では不完全ながらも空調設備が稼働していて、長い道中をなんとか持ちこたえられるようになっていたのでした。

頑張ってるな、恵比寿ガーデンプレイス。

というわけで、コンデジFUJIFILM XF10片手に恵比寿に行ってきたぞ、の巻でした。

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