ちょっとだけ只見線沿線へ

せっかく避暑に出掛けたのだから、涼しい裏磐梯の高原を降りずにじっとしていればよいものを、つい我慢できなくなって、滞在中にちょっとだけ只見線方面に遠征してしまいました。

裏磐梯から只見川の渓谷地帯まで、クルマでおよそ1時間半です。今回撮った列車の写真はこれ1点だけ。
昼下がりで陽射しが強い上にやや逆光だし、PLフィルターで少し反射は抑えているものの水面も波立っているしで、さほどの写真にはなりませんでしたが、この只見川第三橋梁は今年5月に来た時に撮り損ねているので、ささやかにリベンジです。

ここで縦構図にすると、人工物として中空を走る架線がフレームインしてしまうので良くない、と勝手に思っていたのですが、改めて考えると列車も橋梁も人工物そのものだから、ネイチャー写真と違って上空の架線くらいはあまり気にしなくてもよさそうだなあ、却って山深い感じを演出する要素になるかも、と学びました。

これ以外にこの日の撮れ高はあまり無いのですが、休憩ついでに立ち寄った金山町の東北電力奥会津水力館「みお里」で、面白い企画展をやっていて少しだけ撮ったので紹介しておきましょう。

立体間取りアーティスト・タカマノブオさんの「ミニチュア妄想建築」という作品群で、アニメや映画作品に登場する架空建物・架空のシーンなどを実際に間取り図を描いてミニチュアで作ってしまうというものです。

例えば「サツキとメイの家に引っ越してきた日」「春日山城を攻める戦国自衛隊」「”ALWAYS 三丁目の夕日”の”鈴木オート”全景」とか、精巧なミニチュアを作っちゃうんです、この人。

わたしが特に唸ったのがこの作品。

細かいところまで作り込んであって芸が細かいとか、仕上げが美しいとか、矢吹丈の髪型が再現できていて凄い、とかいう諸々で感心したのはもちろんですが、なによりも2023年の作品展で「丹下拳闘クラブ」を再現してプレゼンテーションするその発想・着眼が、タダモノでない気がします。恐れ入りました。

※テラスに面した明るい会場でアクリルケース越しに撮るので、無用の反射光をどうしても拾ってしまい見にくくて申し訳ないです。

これもベタだけど凄かった。

金網に貼られた青い住所表示看板とか、警察官募集のポスターとか、こういうの「神は細部に宿る」というんですかね。いや「細工が細かい」ということを言いたいんじゃなくて「そこにそれがあるはずた」という選択というか想像の集中力が凄い。

これらに比べれば、大作「”千と千尋”の湯屋」は、それほどわたしの心を揺さぶりません。凝った巨大建築物が原作通り忠実に再現されていて見事だ、とは思うものの、湯屋をいまここに顕現させるために作者が投入する”熱量”がわたしにはあまり伝わってきません。

disる意図じゃないんです。この湯屋だって凄い。豪華絢爛な”表側”ではなく敢えて”裏側”を撮ったのには意図があります。まさに今、ボイラー室につながる例の外付けの階段を千尋が駆け下りてくる様子がちゃんと造られていて、そうだよねあの映画で一、二を争う名シーンをちゃんとわかってくれてるよね、という共感を込めているのです。

だけど、この作品展でわたしがほんとに胸を打たれたのは大作の「湯屋」よりも「拳闘クラブ」であり「こち亀の警官募集ポスター」なんだよ、ということが言いたいわけです(頼まれてもいないのに、謎の早口熱弁)。

タカマノブオさん、公式サイト/SNSアカウントがどこなのかはっきりしないので紹介先が載せられませんが、福井県の方で、同県丸岡町に茶蔵庵房(さくらんぼう)という私設ミュージアム兼カフェがあって、作品の常設展示がされているらしいです。ご参考まで。

最後は、みお里の南側テラスから撮った只見川と大志集落の写真。

この先のかねやまふれあい広場から北向きに遠景で大志集落を撮って只見線を絡めるというのは何回かやってますが、逆方向は初めてですね。そもそもここからでは只見線は撮れないし・・・

と思って撮っていたら、なんとこの写真の画角の外、左側にわずかに橋梁上を走る只見線を瞬間的に捉えられるところがあることがわかりました。この日は活用できませんでしたが「みお里」のスタッフさんがちゃんと通過予定時刻の告知ボードまで作ってくれていて、さすがです。

ともあれ、今回の裏磐梯旅行記事はこれでようやくひとまず終了となります。最後まで見ていただいてありがとうございました。

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