ついでに大磯散歩

照ケ崎海岸のアオバトはなかなかの見ものでしたが、せっかく大磯まで足を伸ばしたのでこれだけで帰るのはアレかなと思い、付近を少し散歩しました。

天気が良ければ富士が望める海岸なのですが、この日はこんな曇り空でした。まあ、そのおかげで海岸で焼死することなくアオバト見物ができたわけですが。

あ、写り込んでいる”同業者”のみなさんはアオバト撮りか、あるいは厚い雲の向こうの富士山狙いか、いずれにしてもおつかれさまです。

海岸にほど近い国道1号線、西湘バイパスじゃなくて箱根駅伝の4区と7区のコースになっている旧道のほう沿いに、地元大磯の名所・名店が並んでいるようです。

国道から照ケ崎海岸への出入口にあるので目に入ったこちらは、和菓子店 新杵さん。
威厳のある佇まいにつられて、撮るだけでなくお店にも立ち寄りました。

店内の風格もなかなかです。お土産に少しお菓子を買い求めたついでにお願いして、1枚撮らせていただきました。

正面の大きな額縁に飾られているのは、初代のご店主がシカゴの博覧会に出品した時に贈られた記念のものだとか。お店の方によると、ウイスキーボンボンを作って出品されたそうです。初代、なんとハイカラな方だったのでしょう!

ところで大磯は、明治の著名医だった松本順医師が「大磯の地は健康に良い」と薦めたおかげで明治~大正期に有力者がこぞって来訪し、別荘を建てた場所なのだそうです。

※松本順・・・先日沖田総司ゆかりの場所を訪ね歩いた時に似た名前を聞きました。そう、鳥羽伏見のあと総司を千駄ヶ谷に匿った、幕軍の軍医・松本良順先生ですね。敗戦で捕らえられた後に赦されて「順」に改名し、西洋医学の権威・貴族院議員として活躍されたそうです。

こちらはいまは何でもない海岸近くの住宅街の中ですが、原敬元首相の別荘跡。

西に向かって少し歩いたところにあるのが、こちらの大磯町営施設。

大磯町 鴫立庵

平安期の高僧にして歌人、西行法師が大磯を訪れてこの地でこんな歌を詠まれたそうです。

心なき身にもあはれは知られけり鴫立沢の秋の夕暮

門外漢のわたしでもわかる、なんとまあ風流な歌。以来、大磯・鴫立沢の趣深さは多くの歌人・俳人に愛されることとなりました。江戸時代に俳人大淀三千風がここに鴫立庵という俳諧道場を建て、代々の庵主がここを継承して今は大磯町営の施設として集会・勉強・展示会などに使われているということです。

いや、でも、いわゆる公民館とはずいぶん雰囲気違うよ(笑)。

医者にも政治家にも、文人にもアオバトにも愛される大磯、奥が深い。

鴫立沢という風流な地名はなんとも魅力的で、地元のおしゃれな洋菓子屋さんにも使われていました。

愛宕神社わきの、これまた趣深い切通し。
暗くて見えにくいですが、左側の高台が神社の境内です。夏の祭礼が近いらしく、町中の人が飾りつけの準備に忙しそうでした。

もちろん、大磯は平安とか江戸とか明治とか、「昔は凄かった」というだけの街ではなさそうです。
大磯駅近くで見つけた、古民家をリノベーションしたいい感じにおしゃれな本/雑貨屋さんやカフェ。
ゆっくり立ち寄りたいところだったのですが、いろいろあってこの日は写真1枚だけで退散。またの機会にしましょう。

駅と海岸の間のわずかな街区を1時間ほど歩いただけでしたが、大磯の散歩はなかなか楽しかったです。わずかな晴れ間を見つけたので、最後は少し鄙びた味わいのあるこの写真で。

ビバ大磯!
最後まで見ていただいて、ありがとうございます。

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