いまさらこのディスコンのレンズについての話題で誰得? という気もしますが、せっかく手に入れたので試し撮りの短評を記事にしておきます。
まず画質について。とりわけ解像性能についての感想です。
多くの古い設計のレンズがそうであるように、このレンズも絞り開放だと像が甘くなり、絞ると甘さが改善されるという傾向があります。
絞りF8~F11付近が一番しっかりするようです。うちの個体がたまたまそうなのかもしれませんが、広角端・テレ端よりも35mm~50mmの方がピシッと撮れる気がする。
題材はアレですが、例えば、48mm F11の絵です。
「テレ端で甘い」という意見を時々目にしますがそうかなあ。テレ端はそれほど悪くない。私の場合でいえば望遠側ではレンズ要因「甘い」よりも撮影者要因「手振れ・微ぶれ」によって失敗写真となるものが多いです(苦笑)。
以下の3点は、焦点距離を変えて同じ絞りF11で撮ったもの。いずれも周辺部までいちおう破綻無く撮れてるように、わたしには見えます。
17mm F11
34mm F11
70mm F11
こういう薄暗くてシャッター速度がそれなりに落ちている写真では、繰り返し自省をこめて強調しておくと、下手な私にはレンズそのものの「甘さ」より自分の「微ブレ」問題の方が大敵。
画質に関して世間で辛口に評価されることもあるけど、そんなに悪くないぞ、ということが確かめられました。とはいえ、広角端では周辺の画質はやや落ちる、ということも認めざるを得ないかなあ。
17mm F11でこんな感じ。
ブログ上の写真サイズでは確認できませんが、等倍近くまで拡大すると、例えば中央部でははっきりわかる建物壁面のタイル貼りの網目模様が、左上隅ではほとんど判らなくなってしまっています。
ということで、画質(解像)については、純正DA16-85と比べて少なくとも勝ってはいないですね。事前に覚悟したほど悪くはなくて、ひょっとしてと期待したほど良くも無い、つまりわたしの「想定の範囲内」です。
発色については、もう少し経験を蓄積しないとはっきり言えませんが、手持ちの他のシグマ製レンズと似た「すっきりした、どちらかというと寒色系に寄った色合い」になる傾向があるかもしれません。特に植物を撮るとそう感じます。
18mm F8
ここまで絞って撮った写真ばかり並べてきましたが、
ひとつ嬉しかったのは、以前使っていた純正DA16-85と比べると、明らかにボケが柔らかくて気持ち良い、ということです。
70mm F4.0(開放)でこんな感じ。
ズームレンズの中望遠域でこのじんわりしたボケは嬉しい。
なお、「周辺減光」や「歪曲」については、わたしのルーティンではRAW現像の過程でAdobeのレンズプロファイルをあてて補正してしまうのでノーコメントです。上記の写真はこれらの補正済み。ついでにいうと色やコントラストについてもAdobe製のK-3III用カメラプロファイルのうち”Landscape”を使って加工済みです。
ということで、期待を爆発的に上回るということはありませんでしたが、まずまず期待通りの感じのSIGMA17-70でした。これで「とりあえずレンズ1本だけで街に出る」という時の有力な選択肢ができて良かった。
あ、そうか。このレンズのもうひとつの特長である「寄れる」を試してないですね。それはまた今度。
今回の機材:K-3III, SIGMA17-70mm Contemporary