鉄路の夕景で気づいたこと

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KP+タクマーで谷中を歩いた帰り道でした。

日暮里駅北口の陸橋で、夕方の光線の感じが悪くないな、と感じたので、ちょうどやってきた常磐線の列車を、その時付けていたAuto Takumar 55mm F1.8 で何気なく撮りました。F-stopは記録がありませんがたぶんF8くらいで撮っているのではないかと思います。

ピントがしっかり合ってない上に、逆光に弱い昔のレンズなので大きなゴーストが出ています。けして褒められたものではありません。

しかし、何の力みも狙いもなく出会いがしら・気まぐれに撮った写真なのに、自分としてはこの写真は悪くないな、と感じます。
Lightroomで仕上げる時に、露出量を下げて実際の時刻よりも夕暮れに近い雰囲気を出し、ホワイトバランスを日陰にして光の赤味を強調する細工をしていますが、その程度のことで「それっぽく」なったな、と。

紅い斜光を浴びた列車のボディの鈍い輝き、浮かび上がる線路の金属光沢。これは鉄道写真の達人たちが撮る夕景写真に、偶然ですがほんの少し近づいてるんじゃないかと。
そして、最初からしっかりデジタル装備で、しっかりここで狙ってれば、もう少し良い写真もいけたかも? と。

ちなみにこの列車、たぶん普通列車ですが、もとは特急「スーパーひたち」として走っていた車両なので、ぱっと見がカッコよいですね(笑)。

戯れに、思い切ってローキーに振って、色温度をさらに極端に上げて赤味をことさら強調してみると、こんな仕上がりになりました。

ああ、こうなるのか。さすがに「輝き」のボリュームが足りなくなってしまいましたね。

こうなると、例えば

・列車がもうあとほんの少し手前に迫っていたら
・そしてその窓に灯があったら
・手前の架線電柱が構図から外せたら
・奥に小さく遠ざかっていく新幹線の屋根の反射がもう少し近く、大きければ
・そもそも陽光と鉄路の輝きがもう少し強ければ

などなど、鉄道写真の経験がゼロに等しい私でも、いろいろ「たら・れば」で足りないものが感じられるようになります。

そして「もう少し良い写真いけたかも」という自分の感覚が、全然甘い、ということにも思い至ります。「たら・れば」を実現するために、季節による時刻と陽光の角度の変化、狙う日の列車ダイヤと天候を調べ、綿密にロケハンするに違いない、鉄道写真上手な人たちの努力、凄いですねえ。

ああ、写真の道はるかなり。

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