トライアル FA 31mm F1.8AL Limited (2)

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FA31mm F1.8 limited このレジェンドともいうべきレンズを、貸出しトライアルで試す西新宿散歩の続きです。

三井ビル前の広場に並んだテーブルとチェアを上から撮ってみました。ある程度絞って撮った時に、DA35mm F2.4(通称35mm安)と比べてどんな差が出るでしょうか。

FA31mm F11

真ん中手前から2つめのテーブルの表面にAF合焦して撮りました。計算上は無限遠までピントが合うはずです。全体としてしっかりした写りですが、拡大して見ると、左上端がわずかに緩いです。

DA35mm F11 AF合焦位置は上に同じ。

これも四隅まで実にしっかりしてます。等倍まで拡大して、左上端部のテーブルの上のゴミの写り方とか(笑)仔細に比較しましたが、この2点の写真の比較においては、僅かにコントラストが強く感じられる影響かもしれませんが、描写のクリアさでFA31mmを凌いでいるかもしれません。35mm安はやる時はやります。

というか、F11はこのレンズたちにとっては少し絞り過ぎなのかもしれませんね。
そして、この日バッグに入れていたもうひとつのレンズ。
フィルム時代の名レンズと言われるFA31mmと、正真正銘のオールドレンズを比較するとどうなるのかと思って持参していた、Super Takumar 28mm F3.5でも撮ってみました。

Super Takumar 28mm F8

他の2つの写真と違ってF8までしか絞ってないのは、私の勘違い作業ミスです。それはさておき、50年前のレンズとは思えない写りではあります。小さなサイズで見ると、写真3点並べて「純正三世代」で遜色がない感じ・・・は褒めすぎか。
あらためて拡大して意地悪く点検してみると、全体にコントラストが弱い上に、たとえばコーンに書かれたNO SMOKINGのサインとかの写りを見てみれば、細部の描写の甘さは歴然。そりゃそうだわな。

もうひとつ、三者比較してみました。

FA31mm F4
中途半端な絞りなのは、開放F3.5のTakumarに近い絞りで撮りたいからです。

DA35mm F4

両者比べると、ピントが合っているところの描写では差を感じませんが、そこから徐々になだらかにボケていく様子は、確実にFA31mmの方が柔らかく深い。ボケの「奥行き」を感じます。その分だけ写真の立体感が増すようにも思えます。このあたりが熱狂的な支持を受ける秘密なんでしょうか。

そして特別出演のTakumar 28mm F3.5

上の2点と比べると、色乗りが浅く全体として眠い感じです。絞りはこちらの方が僅かに開いているのですがボケは控え目です。数ミリ広角寄りのレンズというハンデもありますしね。

半世紀前の代物にしてはたいしたものだ、とも思いますが、現代のレンズとは描写力に明らかなレベルの差があるということは改めて再認識しました。オールドレンズ遊びは、写真そのものの出来だけでない、何かの「物語」を合わせて楽しむことが大事ですね。

ご承知のように、M42マウントのTakumarを、アダプター込みでPENTAX KPに脱着するのは結構面倒なので、あまり外出先(それも屋外)でやりたい作業ではありません。したがって今回の特別ゲストTakumarはこれにてお役御免です。

もともとの狙いだった、FA31mmとDA35mmの比較に戻って、最後にこちらを。

絞ってシャッター速度を遅くして、水の流れが糸を引くように写してみました。
FA31mm F22 SS1/6

DA35mm F22 SS1/6 同じ条件ですね。ちなみにISO100も共通。

この2点はですね、等倍拡大してあちこち点検してみましたが、反射の光り方などで少し違いはあるものの、どっちの何が良いとかいう優劣判断は、私には全くできません。こういう使い方では差がない、ということだと考えることにました。

さて、前回・今回、そしてブログにアップした以外にもたくさん撮ってと2つのレンズを比べてきた結果の、個人的感想です。

FA31mm F1.8リミテッドは、遠景の見事な解像感とか柔らかく深いボケとか、うまく使えば、たしかに素晴らしい写真を撮らせてくれるレンズです。PENTAXユーザーの間で伝説的に語られるだけの理由があります。

他方、私の腕前では、その卓越性を活かせないことも多そうだな、とも思います。実際、アップした以外のものも含め、DA35mm F2.4と大差の無い写真もたくさん撮れてしまいました。35mm安が、解像もボケも開放F値も及ばないとはいえ、値段の差を考えれば大健闘しているということの裏返しでもあります。

結論。FA31mmは評判通り素晴らしいレンズだが、使えば直ちに良い写真を量産できるというわけでは無い。ハマれば良い絵が撮れるが、残念ながらこうすればハマるというツボが、下手くそな私にはまだよくわかりません。

お金と時間は、少しでも多く撮り歩いて経験と腕前を高めることに使う方が今は投資効果が高そうです。至極まっとうな結論ですが、ちょっと悲しい(笑)
御託を並べる前に、まずピンボケと手ブレがなあ・・・ぶつぶつ。

ともあれ、しばしお別れのようですから、最後にFA31mm F1.8 limitedをわがKPに付けた雄姿(スマホ写真)を、思い出として貼っておきます。かっこいいなあ。

昔、何かで同じようなことを経験をしたなあ、と考えていて、思い当たりました。ゴルフクラブを変えてもゴルフのスコアがさっぱり伸びなかったのと同じだ。

ちょっと悲しい。

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