谷中あたりに出掛けたいと思ったのが先か、最近オールドレンズで遊んでないなと思ったのが先か、自分でも判然としませんが、ある日「K-3IIIにタクマーつけて谷根千を散歩しよう」と、いかにも中高年のおじさんらしく思い立ちました。
なにせ世の中がアレですが、マスクして人混みを避けて誰とも接近せず口をきかず、ひとりでサクッと遊んでくる、というのにはおじさんのフォト散歩はまことに具合の良い遊びです。PENTAX K-3IIIと、Super Taumar28mm f3.5, Auto Takumar55mm f1.8, SMC Takumar135mm f2.5の3本持って出かけてきました。
日暮里駅から歩き始めてほど近い、谷中の経王寺の山門。
自分の名前を紙のお札にしたやつ、千社札というんですか? やたらペタペタと貼られていて面白い山門だなあと思って撮らせていただいたのですが、どうもお寺はお困りのようで、よく見たら「勝手に札を貼らないで」と注意書きが出ていました。みなさん、大概にするように(笑)。
夕焼けだんだんから谷中銀座商店街を望む。
おなじみの眺めで、何点か撮ってみたのですが、結局少し下がって望遠で撮るいつもの写真に落ち着きました。Takumar135mmって、この場所でこの絵を撮るために作られたのではないかと思うくらい、しっくりくる写りです。
それにしても、谷中銀座はこんなに賑わってしまって、大きなお世話ですがいろいろ心配ではあります。
実はこの日のフォト散歩は日暮里駅から夕焼けだんだんに行く前にまず谷中霊園を歩いたのですが、いきなり霊園の写真はやっぱりアレかなあと思い掲載順をいじりました。とはいえ、この霊園はなかなか落ち着く良い景色ではあるのです。
なぜ少し回り道をしたかといえば、霊園内の五重塔跡を訪ねてみたかったのです。
幸田露伴「五重塔」のモデルとして知られますが、昭和32年に火災で失われてしまい今はこうして「跡」が遺されているのみです。
こういう味のある路地裏風景も、この地ならでは。
住宅街の中にいきなりある岡倉天心記念公園。
谷根千と言いながら、谷中から歩いていくと谷中→千駄木→根津の道順になります。
千駄木で見かけた古き良き店構えの酒屋さん。
三河屋さんという店名がなかなか痺れます。看板の局番が三桁なのにこれまた唸ります。
道順の上では少し戻りますが、地下鉄の千駄木駅近くのお米屋さん。ここは看板の局番が二桁!
それにしても二桁は凄いな。いやこれは流石に三桁のうちひとつが外れたということかな?
どちらのお店もこの日は閉まってましたが、日曜日だからだと思いたい。きっと平日は元気に営業してくれているに違いない、そうだといいな。
堅実だけど現代のレンズと比べると解像も色乗りも少し鈍いタクマーの写りが、谷根千にはやはりよく似合う感じがします。先入観と思い込みに過ぎないかもしれませんが、そうだとしても趣味の写真だもの、構うものですか。
いずれの写真もRAW現像してますが、オールドレンズらしいおとなしい発色になるように仕上げは”ナチュラル”にしています。ちょっと迷いましたが「かすみの除去」処理は加減しながら使いました。
だいぶ記事が長くなったので、ここまで。次回に続きます。