お盆のころに一瞬おさまった後復活してきた暑さにめげて、8月下旬はほとんど”観る専”でした。というわけで今回も写真展を観てきた話。会期との兼ね合いで予約記事に割り込んで前倒しでアップしておきます。
品川のキヤノンギャラリーで素晴らしいスポーツ写真展を開催中です。
水谷たかひと先生は、山岳写真から転じてスキー、やがてあらゆるスポーツを撮るようになり、1960年代から日本のスポーツ写真家の草分けとして活躍してこられました。
「記録」としてではなく「アート」としてのスポーツ写真を追い求めて60年。この写真展はその集大成ということだそうです。
例によって何も知らず不勉強なままふらりとギャラリーを訪れたわたし。普段ポートレート写真を撮らないこともあってスポーツ写真にはさほど強い関心が無かったのですが、見事にガツンとやられました。
水谷先生の写真は、「躍動感あふれるカッコいい一瞬を切り取るもの」というわたしの平板なスポーツ写真理解を超えた、凄まじい”人間力”描写に溢れています。
力強さ、速さ、美しさ、そしてアスリートからほとばしる裂帛の気力と研ぎ澄まされた刃物のような集中力。スポーツ競技の一瞬の中に究極の”人間美”を見出し、見事に写し取っています。これは凄いです。
どの写真にも圧倒されますが、その中でわたしの記憶に特に残ったのは意外にも「静かな」作品。アイススケート女子団体追い抜き(パシュート)競技で直線を駆けるさまを正面から捉えた写真。3人の選手の手が綺麗に3方向に伸びて、まるで音も無く三宝荒神像が疾走して迫ってくるかのような、幻想的な美しさでした。
「瞬間を撃て」写真展と同時に、別フロアのオープンギャラリーで2つの写真展が開催されています。

それぞれ、水谷先生が会長を務めるスポーツ写真協会の会員(プロ)と、準会員(アマ)の作品展で、隣接する3つのギャラリーで「スポーツ写真ジャック」するという意欲的なイベントになっているようです。
スマホで適当に撮った写真ですみません。
下のフロアで「瞬間を撃て」展、上のフロアのオープンギャラリーで他の2つの写真展となっていました。

もちろん、すべて観て、勉強させていただきました。会員展では「稀な一瞬を捉える」「撮影技巧を凝らす」といったプロの技術を見せつけられる側面もあって驚嘆し、準会員展では「この一瞬を撮るのにどれだけ頑張ったか」と、写真から伝わる熱い情熱を感じました。
3つの写真展を観終わってど素人のわたしが見つけた平凡な発見。やっぱりポートレートは「目」だな。どんなにカッコいい競技シーンでも、アスリートの「目」が写っていない写真は迫力が1,2段階落ちるように思います。
もちろん広角で競技者ではなくシーン全体を見せる、競技者をクローズアップするけとあえて目を写さないという傑作写真もある(↑でわたしがイチ押ししたスケートの写真も競技の性格上目は写らない)けれども、例えばアマの準会員の作品には「ああ、素晴らしい写真だけど競技者の「目」が見えてなくて惜しいな」というものが結構たくさんありました。
あと、キヤノンの機材の性能の凄まじさもあらためて思い知りました(笑)。
ともあれ、たいへん刺激になるというか勉強になるイベントです。会期末が9月8日または29日と迫ってきているので、ご関心のある方はお早めに。


