植物園から伝通院へ

小石川植物園は正式には「東京大学大学院理学系研究科附属植物園」で、研究施設だから徹頭徹尾ストイックに標本植物が並んでいるだけかというと、実はそうでもないのです。

いくつか、明らかに鑑賞用に整えられた植生があって、中央の広場状の園地にはソメイヨシノの巨木がたくさん植えられていて寛いでお花見が楽しめるようになっているようですし、温室わきのイロハモミジのプロムナードは紅葉の季節にはさぞ見事な景色となることでしょう。

園内案内 | 小石川植物園
小石川植物園のホームページ。小石川植物園は植物学の教育・研究を目的とする東京大学の教育実習施設です。

わたしが訪れたのは9月末で、この季節ならではの風景はこちら。

秋の訪れが遅く、ヒガンバナ(曼殊沙華)の盛りがお彼岸よりも1週間ほど遅れたのが幸いして、この日燃えるような紅い群生となって目を楽しませてくれました。

前週の新宿御苑が今年最初で最後のヒガンバナのつもりでいたので、此は嬉しい誤算。

肩を痛めている身にはちょっと重たかったけど、望遠レンズLeica50-200mmを持ってきていてほんとに良かったと思いました。

ヒガンバナは蝶や蟻を呼び寄せますね。よほど甘い蜜が出るのでしょうか。

画面があまりに真っ赤になってしまったので、ちょっと違う色も。

フヨウの清楚な白い花は、薬園保存園で見つけました。植物園の前身である江戸幕府御用達の薬草園を記念して、今も100種類以上の薬草が栽培されています。


わたしが見分けがつく数少ない花のひとつ、コスモスは柴田記念館(詳しくは上記の公式サイトを参照。この日はささらかに「牧野富太郎展」をやっていました)前のベンチ脇で綺麗に咲いていました。ここにある必然性は見当たらないので、純粋に来場者の目を楽しませるために植えてくれているのだと思います。

さて、ここで重大なミスについてカミングアウトしておかないといけません。
今回はじめて訪れた小石川植物園、実は園地の半分近くを見学しないまま気づかずに帰ってきてしまいました。園路の終点を見極める前に、なんとなく「ここまでで終わりか」と引き返してしまったのですが、後から公式の園内図で見返すと、なんと北半分(園内図の左半分)が”未踏”のままです。

まったく例によって迂闊というかお恥ずかしいというか。
これは近々にリベンジ訪問しないといけませんね。

というわけで、勘違いで早々に植物園を出てしまったわけです。
帰り道にこの近所の伝通院(でんづういん)に立ち寄ってきたのでその写真もアップしておきましょう。

傳通院・伝通院

いきなり伝通院と関係ない写真で失礼(笑)。

たまたま道すがらの住宅街でシロバナマンジュシャゲの鉢植えを綺麗に咲かせているお宅があったので、撮らせていただきました。少し黄色みを帯びたやさしい色合いの株で、植物園の赤い曼殊沙華との対比もまた一興かと。

さて、伝通院の立派な山門がこちら。

於大の方(徳川家康の母)や千姫(徳川秀忠の娘)の菩提寺で徳川家に所縁の深いお寺さんですが、新選組フリークのわたしとしては何よりも、清河八郎の呼びかけに応じて近藤勇以下の試衛館一党や芹沢鴨一党などが集まり、のちの新選組の母体となる浪士隊が結成された場所、という認識が先に立ちます。

幕末の動乱期、一旗揚げようと意気に燃えて京に向かう若き隊士たちの出発点がここだったのですね。


近年に再建されたと思しき立派な山門や本堂の姿から昔日を偲ぶのは難しいですが、それでもなかなか感慨深いです。

というわけで、話と目線があちこち行ってしまいすみません。
小石川植物園と伝通院、の巻でした。

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