はじめての星景写真(1) 比較明合成のアレ

旧サイトから記事を転載したため内容齟齬やリンク切れなどの不備が生じていることがあります。あらかじめお詫びします。
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夏休みに福島県は会津・裏磐梯に行ってきました。ここ何年か繰り返し訪れている我が定番の夏の休暇旅行先です。

この避暑地の魅力については、語りだすと長くなるので後日に譲りますが、今回から何回かに分けて、裏磐梯で撮った写真を投稿してみたいと思います。

さて今回は、星空を撮るいわゆる星景写真というやつに初めて挑戦してみました。

当地は、空気の澄んだ高原地帯で、しかも市街地からは山と湖沼で隔たっているため、夜空を撮る障害になる光害が少ない、星景撮影好適地のはずです。

さらに、晴天に恵まれること、かつ月が出ていないこと(月明かりは星を撮る大きな妨げになります)が重要です。前者は私にできるのは祈ることくらいですが、後者は事前に調べられました。当地滞在中の月の出は午後10時過ぎなので、月が出る前の午後8-9時頃に星景を撮ってしまうという作戦が良さそうです。

幸いにも晴天に恵まれたある夜、作戦決行。で、結論として、こんなんが撮れました。

いやあ、撮ってみて自分でびっくり。こんなに「それっぽく」撮れるとはね。

一定の間隔で連続してたくさん撮影(インタバル撮影)し、センサーの各ピクセルごとに、すべて撮影写真の中から最も明るい光を選んで合成する「比較明合成」というやり方で得た写真です。

光る星は撮り進むうちに全天を少しづつ移動するので、その軌跡が輝く線となって表現されるわけです。24時間で360度動いて1周するわけですから、1時間撮り続けると、360度×1/24=15度に相当する分の輝線が得られます。

これは、F1.8、F2.8といった星空撮影に向く明るい広角レンズを持っていない私のような庶民愛好家が、暗いレンズでも問題なく楽しめる星景写真の技法だそうです。(このサイトをはじめいくつかの情報を見て勇気づけられ、にわか勉強をしました)

K-70はこの比較明合成をカメラ内部で実行してくれるので、撮り溜めた写真をPCに移して、専用ソフトを使って後から合成する、という手間が省けます。ブラボー!

参考までに撮影条件を記しておきます。
カメラ:PENTAX K-70
レンズ:HD DA 16-85mm F3.5-5.6 ED DC WR(広角端16mmを使用)
絞り:F4.0
ISO:1600
SS:20秒
インタバル:25秒(シャッターが20秒開いて5秒閉じて、の繰り返し)
ピント合わせ:MF
撮影枚数:150枚
(上の写真は150枚撮影の全てを使っておらず、最後の数枚は事情でボツにしています。これについては後述)

1回しか試さなかったので、露出の設定がこれでベストなのかどうか自信はありません。実際、思ったより明るい空に撮れたので、RAWデータをもとに、露出とホワイトバランスについては少し補正を加えています。

また、途中経過の写真を全て残すか残さないか、好みで設定できます。
残す設定でやってみましたが、カメラは1枚撮影するたびに、そこまでの写真を比較明合成した最新版の写真(JPGもRAWも)を残します。合成前の写真は残しません。したがってK-70に残るのは150回分の合成後写真、ということになります。

以下、今回は「残す」にして良かったという話。

まったく合成されていない「1枚目」はこうでした。

これだけだとちょっと冴えない星空写真ですが、何枚か撮って合成が進むと、すべての星の軌跡が光って、1枚では微かすぎて判らなかった星も見えてきます。

この調子で140枚余り撮り進んだのが冒頭の写真というわけです。

しかし、150枚完遂まであと数枚を残した時点で、撮影地の暗がりに外から明かり(たぶん自動車のヘッドライト)が写りこんで、暗かった森が数舜の間明るく照らされてしまいました。

1枚でも明るくなった写真があると、カメラはきちんと比較明合成してしまうので150枚めの「完成写真」には、煌々と照らされた木々がしっかり写っていました。

「月明りでほの明るく」に見えなくもないので、これはこれで味が出たかな、とも思ったのですが、実は「車のライトに一瞬照らされて」だと知ってしまった私としては今のところ興覚め感が強く「ボツ」。冒頭の写真を今回の成果物として残そうと思っている次第です。
途中経過「残す」のおかげで選択の余地ができました。

ともあれ、
比較明合成による星景写真、時間はかかりますがなかなか楽しい仕上がりです。たしかに、初心者の私がエコノミーな機材でなんとか「星空を写す」ためのひとつの方法に違いありません。

構図をよく考えて、地上の何と絡めて撮るかなど、工夫すれば面白い写真が撮れるはずです。これからも機会があれば挑戦してみたいと思いました。

#1時間以上の撮影時間、近くに止めた車の中でスマホを見て時間を潰してました。時間の無駄遣いというか、夏休みらしい贅沢な時間の使い方というか、なんとも(笑)。

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