当地の美味しいもの・・・と言っても、多くの人にお勧めできる/役に立つという観光ガイドみたいなお話ではなく、ごく個人的な好みの話題です。あと、写真ブログですが今回は写真の掲載はありません。
会津の料理というと、みなさんは何を思い浮かべるのでしょう?
会津若松の郷土料理の名店として知られる「渋川問屋」で会津の料理を味わえる人気のランチコースは、こんな献立なのだそうです(2021年12月の情報)
「祭り御前(鶴コース)」¥2100
突出し/鰊の昆布巻/鰊の山椒漬/棒鱈の煮付け/こづゆ/天ぷら/蕎麦粥/舞茸ご飯/漬物/デザート(果物)
会津は山里ですから、昔は海産物は貴重だったのでしょうね。ニシン、コンブ、タラ、貝柱(もちろん干物)を使った料理が、ことのほか「御馳走」だったことが伺えます。興味があれば個々の料理のレシピなどはそれぞれググって調べていただければと思いますが、冷凍技術を生かして鮮度の高い食材を好きなだけ使える現代の料理とは異なり、会津の料理は鮮度のハンデを補うために工夫をこらして、海のものは干物ならではの旨味をとことん引き出しているのが特徴です。
「海の幸」については確かにデバフ状態ですが、「山の幸」は採り放題、野菜、山菜、川魚に馬肉、米も水も酒も抜群の美味しさで、こちらは常時1.5倍くらいのバフがかかっています。
名店の代表メニュー以外にも会津・裏磐梯で食べられる素敵な地元の味はたくさんありますが、わたしが断トツで推すのは、姫竹と身欠き鰊の炊き合わせです。ウン十年前、当地の知人の家でこの素朴な家庭料理を食べさせてもらって刮目しました。衝撃の出会いでした。トリコになった(今もなってる)と言って良いでしょう。
家庭料理だけにレシピは様々です。供されるたびに醤油味、味噌味、ウドなど他の山菜入り/なし、山椒入り/なし、鷹の爪入り/なし、などさまざまなバリエーションを経験しましたが、私にとってのスタンダードは最初に知人宅でいただいた「醤油味、ウド・山椒・鷹の爪いずれもナシ」で、これだけで酒もご飯もいくらでもいけます。
ところが、近年ちょっと困ったことになっています。
料理屋や宿の食事ではどういうわけか最近食べさせてくれるところが少なくなり、知人の家も代替わりされて、要はなかなか現物にありつけなくなっているのです。この料理だよ、と簡単に写真を撮ってご紹介することすらできません。
やむを得ず”クックパッド”で見つけた、けっこう近いかなと思うレシピのリンクを貼らせていただきます。当たり前ですが「郷土料理」っぽさが希薄な上に鷹の爪はわたしのスタンダードとは異なりますが、これもとても美味しそうです。
会津で姫竹が採れなくなったのかな、気候変動のせいなのかな、どうしたのかな、とひとり気を揉んでいましたが、最近見つけたこのブログ記事が現状を理解するヒントになるかもしれません。
地方によって姫竹・根曲り竹などと呼ばれるチシマザサの若竹は独特の風味と食感の良さで人気のある食材だが、採るのも加工するのもなかなか難儀で、近年では採取しても割が合わないものになってきている(かも)、と著者は述べられています。
要は、一次生産者・加工業者・飲食業者各層で、扱いにくく採算が合いにくくなって流通量が減っちゃったということでしょうか? このまま幻の食材みたいになっちゃうとしたら、上記のブログの方のように山に入って採ってくる技量も才覚も無いわたしとしては為すすべがなく、寂しい話です。
現状が少しわかってきて、ますます恋しくなってきました。姫竹、カムバック!