天幕の街 MIND GAMES 感想ほか

標題は故・鈴木清氏が1982年に発表された写真集名であり、かつ現在六本木の富士フイルムスクエアで開催中の写真展のタイトルでもあります。先日伺って見学・勉強してきました。

いただいたパンフレット等からわたしなりに纏めた作家の略歴。

鈴木清氏(1943-2000)
福島県好間村(現・いわき市)生まれ
若いころに土門拳「筑豊のこどもたち」に衝撃を受ける。上京して働きながら東京総合写真専門学校に通ううち「カメラ毎日」編集長山岸章二に見いだされ、故郷を撮る「シリーズ・炭鉱の町」を誌上で発表するに至る。
「流れの歌」「ブラーマンの光」に続く自費出版作品「天幕の街」で第33回日本写真協会賞新人賞を受賞。
その後東京総合写真専門学校で教える傍ら写真家活動を続け多くの作品を遺す。

今回は「天幕の街」収録作の作品展のようです。サーカスの天幕や路上に暮らす人々の表情や生きざまがハイコントラストなモノクロ写真に収められています。

以下はわたしの極めて個人的な感想ですが、写真家のまなざしは客観的で温かくも冷たくもなく、淡々としているように感じました。大半がポートレートで、流れていく人々を流れ行くままに撮る。そして不思議なことに、写っている人やものよりもむしろ撮っている写真家のまなざしの方に見ているわたしの意識が行く。これまで拝見したどの作家のモノクロ作品集とも異なる、ちょっと新鮮な感覚です。

うまく表現できないし、大外れかもしれないので感想はこれくらいにしておきます。
3月29日までが会期なので、ご興味のある方は是非どうぞ。

ところで、隣の会場では「よみうり写真大賞」の入賞作品展をやっていました。こちらもプロアマ老若男女の優れた作品がたくさん見学できて良い刺激になりましたが、その中で「ニュースフォト部門」のある入賞作品に戦慄しました。

日本中を震撼させたあの首相銃撃事件の現場写真。首相が演説に立ってマイクを構えているその真後ろに、懐から銃らしきものをまさに取り出した瞬間の犯人の姿が大きく!!

普段自分が撮っているのほほんとしたスナップ写真と、緊迫した瞬間を捉える報道カメラマンの写真。同じ写真でもふたつの世界のあまりの距離の遠さに、あらためて度肝を抜かれました。月並みな感想でごめんなさい、でもホントに「驚いた」としか。

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