高島野十郎展 松濤美術館

このところ夏休みの蓼科写真散歩の途中ですが、割り込み記事です。もし東京近郊住まいで知らない人がいたらこの美術展のことは少しでもお知らせしておきたい、会期末まであと少しですよ、と。

高島野十郎さんは明治23年(1890年)生まれで福岡県の酒造家の五男。東大の水産学科を首席で卒業した後、家業とも専門の学問とも畑違いの芸術の道を進み、生涯にわたって画壇とほとんど交わることなく独学で写実の技を極めた孤高の洋画家でした。

昭和50年(1975年)に没し生涯を通じて無名の画家でしたが、1980年代に入ってその傑出した画業がようやく世に見出されました。目下全国各地を巡って没後五十年展が開催されており、今年7月からは渋谷区立松濤美術館がその会場です。どこかで聞きつけて観に来たわたしが感激し、会期末が9月6日に迫っている中でブログ記事で紹介したくなった、という次第。

いろんなメディアで紹介されているので既に十分にメジャーなイベントなのかもしれません。いまさらこの零細ブログで紹介してもしなくても影響力はゼロに等しいでしょうが、「良かったよ」「ぜひ観に行ってみてよ」と他人に勧めたくなるこの気持ちを抑えることができません。

肝心の作品について今回はほぼ全面的に撮影禁止で、何点かの撮影可のものも大抵ガラスの写りこみが厳しくて撮るのはなかな難しかった。代わりに先行開催した千葉県立美術館の作品紹介ページのリンクを貼っておくのでこちらでどうぞ。

没後50年 髙島野十郎展
福岡県出身の洋画家、髙島野十郎の没後50年の節目に、初公開作品を含む回顧展を開催します。 2025年7月18日~ 9月28日千葉県立美術館にて開催後、福岡県立美術館、豊田市美術館、大阪中之島美術館、東京会場、宇都宮美術館に巡回予定。

蝋燭(ろうそく)や月影を題材にしたものが数多くあって、確かに素晴らしいです。しかし、わたしにとっての真骨頂、個人的に琴線に触れた作品は、雪にけぶる山里の景色を書いた「積る」、生命力に満ちた「からすうり」ほかの数点。

写真愛好家の端くれとして題材の選び方にシンパシーを感じて引き寄せられ、改めてしっかり観ると、揺るぎない構図と精細な写実の技術に圧倒される繰り返しでした。

渋谷・松濤がそれほど遠くない方は、ぜひ会期中に訪ねてみてはいかがでしょう? 強くお勧めします。

さて、展示は撮影できませんでしたが、素敵な美術館の写真はいくつかスナップできたので、にぎやかしに載せておきます。

京王井の頭線の神泉駅を降りて、東京屈指の高級住宅街を数分歩きます。

住宅街の中に忽然と姿を現す松濤美術館。渋谷駅からでも15分あれば歩いてこれるんじゃないだろうか。

1981年(昭和56年)竣工、地上2階・地下2階の瀟洒な建物です。小さな丸い池を囲む吹き抜けの中空にブリッジがかかっていて、なかなか個性的な造りと言えるのではないでしょうか。

らせん階段状の階段室の眺めもまた一興。

最後に、1点だけまずまずまともに撮れた高島野十郎作品。「さくらんぼ」

東京暮らしは結構長いのですが、実は当美術館は今回が初訪問。都区内の美術館博物館を踏破する、なんていう馬鹿な試みが一瞬だけ頭をよぎったわたしです。一瞬よぎっただけだってば。

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