蓼科高原の入口に蓼科湖という人造湖があります。昭和27年に農業用のため池として造られたと聞いて、水が豊富にありそうな山の中でしかもこんな高地(標高1250m)になぜため池? という疑問が湧きましたが、その答えは後ほどわかりました。

ともあれ、今はいい感じの水場として良い観光スポットになっています。この日は天気もまずまず・・・というか、高原とはいえ陽が射すと結構暑い夏の日でした。
湖畔の木陰には良い風が吹いていたので、美味しいソフトクリームでもいただいてのんびり・・・というだけで済ませるのも悪くないのでずが、今回はちょっと撮ってみたいスポットがあります。
こちらです。わかりにくいかな?
人造湖の面影を残す風景です。写真左手の手すりの向こう側は足下すぐに蓼科湖の水面。奥まで伸びる歩道・車道は高い位置の蓼科湖をせき止める土手の上を走っていて、その右側が土手下。そして右奥の低い位置に何か丸い構築物が見えます。
これが今回の写真散歩の目当て、蓼科湖円筒分水工です。
同じ水源の水をあらかじめ取り決めた水利権の比率で取り分けるための「分水工」という施設です。湖面より低い位置に水路を通して分水工の丸い穴の下から水を湧出させます。円型の湧出口から出た水はドーナツ状の分水路に周囲360度均等に流れ落ちるので、あとは分水路を水利権の比率で区切って用水路につなげればOK。
ここの分水工は、用水を1:9の割合で分けるように造られているとのことです。左上の用水路が1、右下の用水路が9ということでしょう。
もう少し寄って撮るとわかりやすいかも。
左上の用水路向けに、ドーナツ状の分水路が1/10の比率で区切られているのがわかります。
この分水工のことを調べていて判明しましたが、蓼科湖は「水が少ないので溜めておく」ためではなく「山の冷たい雪解け水はそのままでは農業に使いにくいので、いったんここに溜めて温める」という目的で造られた「温水ため池」なのだそうです。だからこんな山の中にあって、下方の里に温まった水を提供している。分水工はいわば人工的な分水嶺の役目を担っているということなのでしょう。
そこそこ良い歳になりましたが、まだまだ知らないことがいっぱいあるものだなあ、と感心。
最後は湖とも分水工とも直接関係ありませんが、湖畔に何軒かあるお店のいずれかで飼っていると思われるヤギがのんびり草を食んでいるのに出くわして思わず1枚。
信州・蓼科湖。一見なんの変哲もない湖ですが、いろいろ知ると趣深いです。


